お腹が空いていたのもあって、
ここに行こう!と決めたお店。
なにやら漫画家さんのようなお方が出てきた。
一度見たら、忘れられないというようなお方。
ここには、きっとなにかある・・・
そう信じて扉を開けると、予想以上の光景が広がっていた。
床から天井まで、海から拾ってきたものがぎっしり。
しかも、床に敷き詰められた貝殻は、深い。
一体、どれだけあるんだろう。
あちこちに、石垣のゆりが咲いている。
見ているだけで楽しくなってくる。
「おもしろいでしょう?」
と、店長の中野さん。
天井からぶら下がっているのは、北欧やら北朝鮮やら、アフリカやら、
世界のあちこちから流れ着いた浮き。
形や文字ですぐにわかるという。
おもしろかったのは、アジアのヤシの実と、アフリカのヤシの実は、顔がちがうこと。
皮がむけたあとのヤシの実は、
アジア系が驚いた顔、
アフリカ系が泣きそうな顔をしている。
石垣の貝は、本当に白くて美しい。
「貝の模様は年輪なんです。
このコは、60年ぐらいかけて、この大きさになったんですよ」
と、とても愛おしそうに、いろんな貝をもってくる中野さん。
白い砂も、貝殻や珊瑚が砕けてできている。
だから、海の色も美しい。
世界で七色の青をもつ海は石垣だけなんだとか。
そして、珊瑚の話になると、とても熱く語り始めた。
珊瑚は長年生きる〝動物〟であること。
近年、珊瑚の天敵、オニヒトデが大量発生して、珊瑚を食べ尽くしていること。
その原因は、オニヒトデの天敵、ホラ貝を人間が乱獲してしまったから、らしい。
だから、珊瑚や貝が消えていくことによって、砂浜の色も海の色も変わっていく。
いまも、大量の雨が降ると、山の土が流れて、黒くなっているという。
「このきれいな砂浜も、あと数年で変わってしまうでしょう」
この不思議なお方、中野さんは、作詞家でもあり、
ラジオのパースナリティなどもされていたのだとか。
大阪出身で、7,8年前から沖縄に住み、1年前から石垣でこのお店を開いているという。
1年で、これだけの漂流物を集めたのも、おどろき。
奥様の作る石垣牛のカレーも、肉がやわらかく、とってもおいしかった。
台南の牛と似ていて、脂肪が少なくさっぱり。
また、いつかここに来たい・・・
そんな場所だった。
石垣に行ってから、つい自然の生態系について考えてしまう。
いまも世界のどこかで、なにかが失われている。
失われていくことが自然なのか、
自然が壊されているのか・・・
自然と、不自然のちがいとは。
次回は、竹富島の話・・・。
中野さんのお店はこちら↓
【伊原間(いばるま) 郷の駅】
石垣市宇伊原間14-1