『やりたいことは、今すぐにやれ』

Sunday, March 8, 2015

『ユダヤ人大富豪の教え』と、講演と。



家の用事があって、しばらく鹿児島に帰省していた。
その話はまたにするとして。

東京に戻る前、私は実家の片づけをしていた。
机の上にいつも置いてあった1冊は、本田健さんがいまも無料で配っているという『幸せな小金持ちへの8つのステップ』。
ピラピラとめくるうちに、12年前の気持ちが鮮やかに蘇ってきた。

そうだ。この本に出逢ったとき、私は、会社の事情で仕事を辞めることになっていた。

「これからどうやって生きていこう?」

毎日、そればかりを考えていた。
年齢は30代後半。いばって言えるような専門的なスキルがあるわけでもない。
美人でもなく、若くもない。
冷静に考えると、いい仕事も、いい結婚も、あるようには思えかった。
でも、「そこそこ」の仕事や結婚ならあるんじゃないか。
「そこそこ」のお金で、そこそこに暮らしていけるんじゃないか。
私は「そこそこ」で手を打とうとしていた。

そのとき、出逢ったのが、当時、爆発的に売れていたベストセラー『ユダヤ人大富豪の教え』だ。
本田健という彗星のように現れた著者は、太っ腹にも無料で全国の人びとに小冊子を配っていた。
きっと何千万円、いや、何億円とかかるかもしれない。

こんな人がいるんだろうか?

幸せな小金持ちの定義は「1億円以上の資産をもち、なにもしなくても年に3000万円の収入がある人」。
本田健という人も、30代前半からアメリカで育児中心にセミリタイア生活を送っているという。

本当にそんな人がいるんだろうか???

その本は私にささやいてきた。

「ねぇ。本当に、〝そこそこ〟の人生でいいの? 人生は一度きりしかないのに……」

私のなかには、「そんなのムリに決まってるじゃない」と否定する私と、「いや、もしかしたら、できるかもよ」と、信じてみようとする私がいた。

そして私は、信じるほうを選んみることにした。
私にも、できることがあるかもしれない。お金のために働くのでなく、自分の好きなことをして暮らすことができるかもしれないと……。

―12年後、つまり、いま。
私は本を書くようになっていた。
淡々と、淡々と書いてきてた本はもう30冊以上になる。
好きなことをして、好きな場所に行って、好きな人たちと会って、基本的にはやりたいことだけをやって暮らしている。
いや、本田健という人のところまでは、まだまだ遠い道のりだけれど。
たどり着くことはできないかもしれないけれど……。

さて、東京に戻って、3日後。
デビュー当時からの恩師、櫻井秀勲先生の79+5歳の誕生日と出版社創業2周年を祝うパーティがあり、対談講演をした。

対談の相手は、本田健という人だ。

対談のなかで、私が、「健さんは、私の恩人でした。健さんの本がなければ、私は本を書いていなかった。ずっと忘れていて、3日前に思い出しました」と話したら、
「それは、ずいぶんと恩知らずなヤツだなぁ」
と笑われた。会場も大爆笑。

そう、ちょうど一年前も、本田健さんに会ったのに、私はそれでも思い出せなかった。
本というのは、そんなものかもしれない。
人の心にするりと入ってきて、人生が変わったことさえも、気付かないんだから。
逆に考えると、そんな力がある本というのは、すごいとも思う。

ところで最近、私はお金の本を書いた。
『感情に振りまわされない―働く女(ひと)のお金のルール』は、将来のお金の不安が消える「戦略」を立てよう! お金のためでなく、自分やまわりの人を幸せにするために働こう! と、お金の「稼ぎ方」「貯め方」「使い方」を書いていて、びっくりするほど多くの方にお求めいただいている。
担当編集者は、あの『ユダヤ人大富豪の教え』を世に送り出したカリスマ編集者だ。

「人生はあなたが望んでいるようになります」

本田健という人は、『幸せな小金持ちへの8つのステップ』のなかで、そう言い切っていた。
12年前は疑っていたが、たしかにそうだった。と、いまになって思うのだ。